アイコン,ロゴの使用; 著作権について
長い(日本語版 WordPress の概算で 9000字をこえる)ページになっています.
♦結論だけで十分なら,いちばん下までスクロールして III(このブログでの,現実的な対処)を見てください.
アイコン,ロゴを著作権との関係でどのようにとりあつかうか,このブログの結論はつぎのふたつです:
♦ 利用規約を読んで遵守する
♦ メールで問いあわせる
I, II, III は 6:3:1 の分量になっています.I はすこし「外側」の視点から著作権に関係する問題をとりあげます; II は法律的な実例をあげます; III ではこのブログの対処をのべます: はじめからおわりにかけて,視点,論点がどんどん「低く 」なり,最後は上のとおり陳腐な結論になります.
♦「著作権」と「商標権」は法的には区別されますが,このページでは法的概念ではなく,両者を含む呼び名として「著作権」を用いることにします.
♦ わたしは法律の専門家ではありません; 読めばすぐわかります.(disclaimer として)
I. 著作権,引用などをめぐる基本的な背景
このブログではラジオアプリの紹介などに,会社やほかの個人の作った(著作権のある)アイコン,ロゴ,さらに画像などをのせることがあります.
これらのアイコン,ロゴなど,またウェブ上の画像などの掲載,使用について,著作権をもっている会社,個人の法的対応を確認する必要があります.
また EU 議会が否決した著作権をめぐる立法案*(引用をほとんで不可能にする)も,外国ラジオを話題にするこのブログでは無視することができません。
*2018-7-5,ヨーロッパ議会は EU 全体に適用される著作権法の改正案を否決しました.賛否の激論,各地でのデモをまねいたこの法案の重大な問題点はふたつあります:
i) “upload-filter” と反対派が名付けた制約:
ほかのサイトの記事,画像,動画などを自分のサイトに upload しようとするサイトの運営者は,すべての記事,画像,動画をスキャンして,著作権法に違反していないか検査しなければならない.
たとえば Youtube は現在 Content-ID という方法で,ビデオと組みあわされた音楽が,著作権法のあてはまるものかどうかを検査している.しかしこの方法は完璧とはいえず,エラーをおこして,ときには合法的な音楽まで削除してしまう.
upload-filter を実現するソフトウェア,プログラムはとてつもなく複雑で巨大なもの(高価なもの)にならざるをえない.そのようなソフトウェア,プログラムを作り,自由に使えるのは Youtube, Google, Amazon などの超大手のサイトだけになってしまう: 弱小のサイト(いわんや個人のサイト,ブログサイトなど)は Google などからソフトウェアを購入しなければならなくなるので,結果としていま以上の有力サイトへの依存,巨大情報産業(会社)の寡占,独占を生んでしまう.
ii) “link-tax” とよばれる新しい“税”:
あるサイトがほかのサイトにリンクをはるとき,リンクの URL (インターネット上の"番地": たとえば https://ocarina-radio.com )も著作権法によって保護されねばならない.リンクをはる者はその URL の “著作権料” を支払わなければならない.ドイツではすでに 2013 に類似した法律が施行された.
たとえば Google はオンライン・メディア(新聞など)の記事見出しを Google News で用いることをやめた(リンクをはれば料金を払わねばならないから).オンライン・メディア側は訴訟によって Google News に自分たちの記事の紹介を書くように,そしてリンクの料金を支払うように強制しようとした.
訴訟による法的強制は実現しなかったが,Google 検索経由の読者を失いたくない,オンライン・メディア側は Google が無料でニュース・サイトの紹介をすることを認めた; ほかの検索エンジンは同様のリンクに料金を払わなければならないことになった.去年ニュース・サイト側は Google 以外の検索エンジンからリンク料として 30,000ユーロ(2018年9月初めの為替換算で約400万円) を得た.対 Google の訴訟費用は 200万ユーロ(同,約2憶7000万円)だった.[Google の独り勝ち]
以上は『南ドイツ新聞』Sueddeutsche Zeitung のつぎの記事によります:
EU 議会ではことし(2018)九月にも同趣旨の法案の審議をおこなうことになっています.このような法律が成立したときには,その適用範囲は EU に限られるのか,それとも日本に住むわたしどもにも適用されるのか,が問題になります**.
** EU で 2018-5-25 から実施された GDPR, General Data Protection Regulation(一般データ保護規則)の個人情報保護に反する罰則は,EU 内部の大量の個人情報をとりあつかう,EU 域外の情報産業(いわゆる GAFA: Google, Amazon, Facebook, Apple など)にも適用され,制裁金は最大で,その企業の年間売上高の 4% または 2000万ユーロになります.https://toyokeizai.net/articles/-/225148
GDPR をじゅうぶんに説明するのは,このブログの枠を越えることになります.GDPR の( EU の)基本的立場は,個人情報(の保護)は基本的人権のひとつであり,ひとは自分の個人情報を自分で管理する権限をもち,自分の情報を企業などが利用する場合は,確認を要求することができる; ときにはその利用を拒否する権利をもつ,ということです.
https://web.archive.org/web/20180716201841/http://europa.eu/rapid/press-release_MEMO-18-387_en.htm
GDPR が個人としての(企業ではない)わたし個人とどう関係するか,わたしのブログに影響するか,が問題になります.つぎのような条項があるので,さしあたりわたしの個人的な(金銭をえることを意図しない,非営利的)活動には無関係と考えてよいでしょう:
GDPR 第2条第二項 https://gdpr-info.eu/art-2-gdpr/
This Regulation does not apply to the processing of personal data: [. . .] by a natural person in the course of a purely personal or household activity [. . .; ボールド,イタリックは やなか]
ただ,つぎのような補足があるようなので,簡単に言い切ってしまうのは乱暴かもしれません:
あるひとが個人的範囲をこえて(ほかのひとの)個人情報を利用しようとする場合,たとえば社会的・文化的活動,または経済的活動に利用する場合には,GDPR を遵守しなければならない.
ほんとはここで"個人情報"の定義をしなければならないのでしょうが,もうわたしの力を越えます.つぎのような先輩のブログに GDPR 対策がくわしくのっています:
わたし個人の非営利的活動そのものは GDPR の適用外としても,わたしが引用しようとするウェブサイト,わたしが使おうとしているアプリは GDPR に違反しているかもしれません.
わたしが使っている,ブログ作成プログラム WordPress は使い勝手の向上のため plug-in(追加のプログラム・モジュール)を組み込むことができます.この plug-in は 55,000 以上あり,これらすべてが GDPR を遵守しているか(plug-in を使うときに個人情報を不正な方法で収集していないか,収集された情報が外部-とりわけ EU 域外-に流出していないか)を確認するのはたいへん困難です.
多くの場合,plug-in は個人のプログラマー,またはごく小規模の会社が開発しています.そこでは GDPR についての法律的ノウハウが欠けているので,つぎのような「免責条項」をそえて責任回避をしようとする plug-in 製作者もいます:
“Activating this plugin does not guarantee you fully comply with GDPR.” 「この plug-in を有効化する(使う)ことは,あなたが GDPR を完全に遵守していることを保証しません.」 以上は:
https://digiday.com/media/wordpress-poses-another-gdpr-compliance-headache-publishers/
WordPress はかぎられたユーザーの問題ですが,つぎは iPhone ユーザーが無視できない事態です:
Apple iOS用のアプリ(iPhone, iPad などのアプリ)は Lifewire というサイトによると 210万にのぼります.Apple の発表によると,2018-10-3 から,これらのアプリの作成者,提供者は,ユーザーの個人情報をどのように利用しているか,どのように個人情報の保護をしているか,個人情報を第三者に"シェア"しているか,”privacy policy” を準備してユーザーに明示しなければならない,ということです.
これはひとつには Facebook のアプリ(複数)を通じて 8千7百万(あるいは 5千万)のユーザーの個人情報が Cambridge Analytica という data firm("データ会社")に流れ,それが 2016年のアメリカ大統領選挙に影響をあたえ,トランプ当選に結びついた疑惑がある,というようなスキャンダルの再発を防ぐためであり,ひとつには GDPR 対策です.
もしかすると WordPress で常用している plug-in のいくつか,iPhone のアプリのいくつかは,正規の手続きでは,使えなくなるかもしれません.Android アプリについても同様です.
そうなるとアイコン,ロゴを使っていいか,というような問題ではなく,このブログで紹介しようとするラジオアプリそのものが使えなくなるかもしれません.
以上は:
https://www.lifewire.com/how-many-apps-in-app-store-2000252
https://itunespartner.apple.com/en/apps/news/100002362
[2018-9-9 追加] おりしも GuardianApp (mobile VPN を提供する会社: イギリスの新聞 ‘The Guardian’ との関係は未確認)は iOS アプリの多くが,数千万の iPhone, iPad からアプリユーザーの位置情報,個人情報を,ユーザーの明確な承認をえずに収集し,それを data monetizing firms (データをカネモウケのたねにする会社)に渡している(もちろん: 売り渡している)とつたえています.概要は TechCrunch Japan の日本語情報でも得られます:
https://guardianapp.com/ios-app-location-report-sep2018.html
II. 著作権(商標権) : 日本と外国の実例
「貴社の(アプリの)ロゴを使ってよろしいですか?」というような質問にたいする一般的な答えを見ましょう:
ご質問に対し以下のとおりご回答申し上げます。
2008年11月3日
河野特許事務所
弁理士 河野英仁
貴社サイト内で他社のロゴを使用する場合、当該ロゴの使用が商標的な使用でなければ問題ありません。ただし、需用者が貴社と他社とが何らかの関係にあると考える等、需用者にその商品の出所について混同を生じさせた場合、商標権の侵害となるので注意が必要です。
具体的な線引きは難しいですが、貴社がその商品を製造・販売しているのではなく、あくまで代行しているに過ぎないことが客観的に理解できる程度の使用であれば問題ないでしょう。しかし大々的にロゴを掲載して商品を販売する、または、企業の外観写真を大々的に掲載して商品を販売した場合、需用者が出所混同を起こす可能性があることから、商標権侵害となります。
以上 〔ボールドは やなか〕
いちばん上にも書いたように,「著作権」と「商標権」は法的には区別されますが,このページでは法的概念ではなく,両者を含む呼び名として「著作権」を用いています.
以下に書くように,厳密な法的論議 – academic question – は無視しても差しさわりありません.
わたしはこのブログで金銭を得る意図はないので,このブログでのロゴの使用は,上の説明によれば日本国内では問題ない,と考えてよろしいでしょう.
外国の例: 以下は Instagram のサイトからの引用です.ロゴの使用についてのべています.(イタリック+ボールドは やなか)
Instagram Legal
読みなれない法律的な文章で,いっぱい書いてありますが,以下に注目すればいいでしょう:
[Instagram’s logos] may only be used as provided in these guidelines or with Instagram’s permission. [イタリック+ボールドは やなか ] つまり:
♦「これらのガイドラインに準拠している場合,または Instagram の許可がある場合のみ,〔ロゴなど〕を使うことが認められる」
「利用規約に違反する方法で(logo をふくむ) trademarks を使ってはならない」とも書いてあります.利用規約に同意し遵守することは,必須であり一般常識ですから,もちろんこのブログの原則のひとつでもあります.
下線の “Instagram’s terms” (利用規約)を見るとさらに説明があります.しかし logo についての具体的な規定はなく,「~を見よ」とあって,そこをクリックすると上のパラグラフに帰ってきます(!)
III. このブログでの,現実的な対処
♦ 利用規約を読んで遵守する
♦ メールで問いあわせる
外国のラジオ局のアイコン,またはラジオアプリのアイコンの使用許可をもとめるメール: